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#23 陸に上がった釣り人

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 釣れない日というものはある。どんなにがんばっても釣れない。岩手全体を覆う雨雲の下から抜け出して、秋田まで足を伸ばしたというのに釣れない。
 以前だったら、それでも夕闇にからだが包み込まれる頃まで、幽者のごとく川辺を彷徨っていたものだが、近頃のぼくたちときたら。
「釣れないねえ」
「上がりますか」
「あったかいコーヒーでも飲んで帰ろうか」
 そそくさとウェーダーを脱ぎ、ロッドをたたみ、ぼくたちは街の名所に向かい、まるっきり観光客のような顔をして、喫茶室でくつろぐのであった。
 こんなことではいけない、季節は始まったばかりというのに、これじゃいけない、釣り人として失格である、と友人の運転する車の後部座席でうとうとしながら、そうおもっていた、ような気がする。
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by flybito | 2011-05-29 01:26 | エッセイ

#22 名人の由縁

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 先週末、岩手に行ってきた。年券を買って初めての釣行で、なんとなく気持ちがおおきくなったような気がした。のは、釣り場に着くまでで、その日、岩手内陸部は10度ちかくまで冷え込み、かつ川は増水気味で状況は良くなかった。今年は東北に春がくるのが遅いようで、水仙と桜が同時に咲くのは北国らしいとしても、5月下旬はいくらなんでも遅すぎる。
 状況がわるいなかでも釣ってしまうのが、名人が名人である由縁で、岩手県を代表するふらい名人高橋啓司さんがそうだ。いっしょに釣っていて、なにが自分とちがうのかわからない。リーダーの長さや流し方も、それほどぼくと差があるようには見えない。しかし、なぜか他を圧倒して釣るのだ。
 この日も寒さとハッチのなさに、やる気をなくしていたぼくたちを尻目に、啓司さんは、つぎつぎと良い型の魚を釣り上げた。
「喰いが渋いから、なんどもおんなじところを流さなくちゃ反応しませんよ」
 といいつつ、振り下ろされた竿は、たちまち跳ね上げられて、半月に曲がる。
 そうか、そうか、何度も流せばいいわけか、としつこくなんどもおなじところを流すぼくのフライは、まるでなにごともなく平和に、ひたすら海へ向かって急ぐかのように流れ下ってゆくのである。
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by flybito | 2011-05-28 15:01 | エッセイ
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 アルフレッド・ロナルズ著”The Fly-Fisher’s Entomology”は1836年に出版され、2011年の5月、初の邦訳本「フライフィッシャーの昆虫学」がカワノ・ブックスから出版された。その間じつに175年。フライフィッシングは西洋から持ちこまれた遊びだから、教科書の大半が向こう側にあるのは当然としても、こういった歴史的名著を出版することのなかった日本のフライフィッシング界というのは、やっぱりどこか厚みと深みに不足してきたとおもう。
 この本最大の魅力はロナルズが描いた昆虫とフライの素敵なイラストであることはまちがいない。本物の昆虫のデフォルメがフライであるという当たり前のことに、あらためて気づかされる。
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 あるいは、たとえば魚の観察から虫とフライの関係を述べた「ライズ・ショート」の項。
――魚は水面のフライまで上がってきますが、フライをくわえないことがあり、これは「ライズ・ショート rise short」と呼ばれます。これは本物の虫にすこしだけ似ているフライを提示したときによく見られるものです。――
 といったことはすでに175年前から明らかなのであり、現代のふらい人が未だにその解決方法に苦心していることも事実である。逆にいえば、昆虫とフライフィッシングの分ち難い自然科学的関係こそ、鱒を巡るフライフィッシングの愉しみそのものであることの証左なのである。
「フライフィッシャーの昆虫学」は日本でどうしても出版されなくてはならない本だ、とおもい決め、それを実現した川野信之さんの熱意には頭が下がる。じつはその思いは175年前にアルフレッド・ロナルズがフライフィッシングに対して燃やした熱意そのものであり、川野さんもまた正統なフライフィッシング文化の継承者なのである。
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by flybito | 2011-05-18 22:50 | ふらい人の書棚
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 ふらい人5月号発行しました。いよいよ本格的なシーズンの幕開けです。どこに行こうかと迷っているふらい人の皆さん、今年は東北に行こう!
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by flybito | 2011-05-11 13:23 | お知らせ

#19 先輩のフライ

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 2月にJFF(Japan Fly Fishers)の年次総会が京王プラザホテルで開催された。今年は同窓会ということで、昔メンバーだったぼくのようなふらい人がたくさん集まった。ぼくがメンバーだったころ、芦沢一洋さん、佐藤盛男さん、室田賢一さんの3名が会長だったが、信じられないことには芦沢さんと室田さんは、もうこの世にいない。芦沢さんはぼくが初めて会報に載せた小文を褒めてくれた。釣りについて書いた初めての文章だっただけに勇気が湧いた。室田さんのキャスティングはほれぼれするほど美しかった。北海道ミーティングのときに、羊蹄山をバックにゆったりと往復する整ったループは初心者だったぼくの憧れだった。同窓会ならふたりにも来てほしかったのに、ふたりの姿はスライドのなかにしかなかった。
 でも、まったく会うことのなかった昔の仲間と会うことができたのは愉しかった。
 ぼくが初めて参加したアウトドアミーティングは1989年(だったとおもう)の岐阜ミーティングで、そのとき同行してくれたのがベテランの本間雅男さんで、当時たまたま近所に住んでいたから、釣りに行かないときには居酒屋に行ったりもして、ぼくにフライフィッシングのいろいろを教えてくれた。それからぼくは沖縄やシカゴにながらく駐在したりして、ほとんど会うことがなくなっていたが、JFFの総会で11年ぶりにお会いすることができた。懐かしかった。で、たまたま、またまた住まいが近くであることがわかって、先日、新百合ケ丘の駅前の焼き鳥屋で呑んだ。で、こんどは共通の知人である橘さんの鱒やにいっしょに行こうということになって、屈斜路湖モンカゲ大作戦の戦略を練るために電話したら、
「ところでbちゃん、ゴールデンウィークはどこにも行かないの?」
 という。釣りの誘いなら前回記事に書いたとおりだから、きっぱり断ろうとおもっていたら、
「ヒマでしょ、飲みに行こうよ」
 ということで、モチロン大賛成して、昨日の夕方、明るいうちから新百合ケ丘に繰り出して飲んだ。
 先輩というのはいつになっても先輩で、ぼくが後輩でなくなるときはない。本間さんはなにしろ当時からベテランなのだから、いまはなんと呼んでいいのかわからないから仮にULTRA2・SUPRA・ベテランと呼ぶが、ともかくぼくにとっては数少ない甘えることができる先輩で、他の仲間にはいえそうでいえないことをいってしまえる。
 ぼくは昔から本間さんの巻くフライが釣れるフライと信じていて、だから「最新のフライを見せてください!」といかにも後輩らしいお願いをして、昨日、居酒屋でフライを見せあった。というより、ぼくのフライにはどこにも独創性なんてないから、昨年Blue Ribbon Fliesで買った木製のフライボックスを見せたという方が正確だろうが。
 というわけで、午後になってようやく昨夜の芋焼酎がヌケてきて、いままさにこれを書いているわけだ。記事をアップしたら、さっそく本間フライを真似して巻くゾ! だから今年は例年になく釣れるはずだ! 先輩と自然は大切にしよう。
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by flybito | 2011-05-06 13:24 | エッセイ