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カテゴリ:ふらい人の書棚( 2 )

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 アルフレッド・ロナルズ著”The Fly-Fisher’s Entomology”は1836年に出版され、2011年の5月、初の邦訳本「フライフィッシャーの昆虫学」がカワノ・ブックスから出版された。その間じつに175年。フライフィッシングは西洋から持ちこまれた遊びだから、教科書の大半が向こう側にあるのは当然としても、こういった歴史的名著を出版することのなかった日本のフライフィッシング界というのは、やっぱりどこか厚みと深みに不足してきたとおもう。
 この本最大の魅力はロナルズが描いた昆虫とフライの素敵なイラストであることはまちがいない。本物の昆虫のデフォルメがフライであるという当たり前のことに、あらためて気づかされる。
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 あるいは、たとえば魚の観察から虫とフライの関係を述べた「ライズ・ショート」の項。
――魚は水面のフライまで上がってきますが、フライをくわえないことがあり、これは「ライズ・ショート rise short」と呼ばれます。これは本物の虫にすこしだけ似ているフライを提示したときによく見られるものです。――
 といったことはすでに175年前から明らかなのであり、現代のふらい人が未だにその解決方法に苦心していることも事実である。逆にいえば、昆虫とフライフィッシングの分ち難い自然科学的関係こそ、鱒を巡るフライフィッシングの愉しみそのものであることの証左なのである。
「フライフィッシャーの昆虫学」は日本でどうしても出版されなくてはならない本だ、とおもい決め、それを実現した川野信之さんの熱意には頭が下がる。じつはその思いは175年前にアルフレッド・ロナルズがフライフィッシングに対して燃やした熱意そのものであり、川野さんもまた正統なフライフィッシング文化の継承者なのである。
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by flybito | 2011-05-18 22:50 | ふらい人の書棚
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「トラ・トラ・トラ」以来、ぼくにとって山村聰は山本五十六でありつづけ、後年、小津安二郎が大好きになって『宗像姉妹』や『早春』を名画座で観たときは、どうにもしっくりこなかった。
 という程度の感想が山村聰のすべてであった。つい先日「釣りひとり」(二見書房)を読むまでは。
 この本は2月号からふらい人に参加される川野信之さんから薦められた。 新刊はないが、版を重ねた本なので「非常に良い」古本を手に入れることができた。 ぼくはハウスダスト・アレルギーなので、古本はよほど吟味して手に入れなくてはならないのだ。アマゾンでいえば、「良い」ではダメで「非常に良い」でなくてはならない。「可」はネットの画面で文字面を見ただけでくしゃみが出そうになる。
「釣りひとり」を読んでいる間、ぼくの口からはいちどもくしゃみが発せられることはなく、代わりになんども盛大な溜め息が出た。溜め息はおもに、失われた日本の美しい釣り場への郷愁と、山村の文章力に対してのものだった。
 この本が出版されたのは昭和49年、いまから37年前のことだが、山村が語るおおくはそのさらに前の時代のことである。山村自身は最終的にへらぶな釣りにのめり込んだが、この本にかぎっていえば、なぜか海の釣りに印象的な文章がおおい。ことに『江戸前の釣り』のなかの『青ぎすの脚立釣り』は短いながらも、全編中の白眉である。であるから、ここに全文を引用する。
 というような荒技ができるのも、21世紀のネット/デジタル世界ゆえではあるが、しかしぼくたちは、その代償として、おそらく下のような世界を失っている。

つづきはこちらへ
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by flybito | 2011-02-12 00:00 | ふらい人の書棚